巫(かんなぎ)とは⑵

暮れも押し迫った12月21日
東京で7人の人を集めてくださっていました。
《巫》という言葉を切り出した彼女の信頼だけで…。
真澄さんが初めて《巫》を披露します…なんて声をかけてくださったそうで…。
本当にありがたいことです。
 
20日の夕方に上京したわたしは
お友達と目白でご飯を食べました。
 
まだその時には、どこか呑気な気分で
そのあと起こることなどまったく予想さえつかず
楽しい夕食の時間を過ごしたのです。
 
その日の昼間、たまたまなんですが
あと10日ほどで迎える年末年始をなんとか無事に過ごすために
そして…年末、最後の遠出となる青森行きのチケットを買うために…
口座残高いっぱいの金額20万円をキャッシングして財布に入れていたのです。
わたしにとっては全財産です!
 
目白でご飯を食べて
何線に乗り換えたのかその駅名は定かではありませんが
 
乗換駅で財布に入っているSuicaをかざそうとカバンの中に手をやったら
ん⁇  カバンに入っているはずのそれが見当たりません。
 
カバンの中を必死に探し
ワープするはずのないスーツケースの中まで広げてはみたものの
他のものはすべてあるのにキャッシングしたばかりの20万円の入ったその財布だけが
どうやっても見当たらないのです。
 
青ざめたのはいうまでもありませんが…
 
反面…
 
《ああ…ヤラレター》と思いました。
 
だってわたしは
翌日まだ未知の世界のものである《巫》というものをさせてもらう予定になっていて
それは、3万円という高額な金額をいただくことになっているのです。
そして、その人数は7人。
 
おびえて怖じけずいて
やっぱりわたしにはムリだわ…なんて言う可能性のあるわたしの
ある意味、息の根を止められた感じです。
 
そうです。
恥ずかしながら
背に腹はかえられぬ…状態になったわけなのです。
 
そして翌日
もうやるしかない…と肚をくくり
その未知なる《巫》というものを
否応無しにさせてもらうことになったわけでございます。
 
おお…こんなに違うのか…というほど
それはなんとも不思議で表現のし難い美しい世界ではありました。
 
そして、今まで感じたことのない
至福感いっぱいの時間がそこには流れていったのであります。
 
そういえば
この財布を失くす2日前に
突如としてわたしのところに来てくれたのが
この白い千早と朱い緋袴に紅梅の天冠をつけた舞を舞う女性の絵です。
 
仲良くしていただいている女性のお家にあったそれに目をやると
 
『この絵はわたしのところにあるものじゃない気がするから
真澄さん、もらって…』
 
わたしは彼女に《巫》の話はまだしていません。
だって、本当にやるのか
本当にできるのか
さっぱりわからないのですから…
 
でも、その時にも思ったのですよ…
《ああ…ヤラレター》って(笑)
 
そしてこうして
逃げ場がなくなる状況をみながら
 
わたしの中のどこかは
 
おみごと‼︎
 
と、叫んでいたのかもしれません。
 

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