(23)無鉄砲が服着て歩いたら…

さて、こうしてわたしは
『中村文昭』という人に、今まで開けることを知らなかったドアをノックされ
戸惑いながらも前へ進むことを始めたようです。
ここから起こったことは
いま、同じことをやれと言われても絶対ムリだと思いますし
無鉄砲が服を着て歩いてるような…その頃のわたしだからできたこと(笑)
そして、見えない何かがつき動かしてくださったかのような出来事だったのです。
大学病院の抗がん剤で、髪の毛も抜け落ちた状態で3歳のお誕生日を
あの日迎えた次男が
病気のことなどまったく忘れ元気一杯で中学三年生になったばかりの春です。
その次男の担任の先生の家庭訪問の際…
学校でも信頼のあついその先生が担任だったので
わたしも、気分が良かったのでしょう…
帰り際に
『先生、良かったらこのCD聴いてみてください』
って、中村文昭さんの講演会のCDをお渡ししました。
翌日、すぐさまその担任から電話があり
『このCDの人を、学校に呼んでほしい。子供達に聴かせてやりたい!』とおっしゃいます。
きけば、学校の例年の講演会の日程だけが先に決まっていて
まだ講演者が決まっていなかったのだとか。
その手配を頼まれたわたしは、ぬかりなくその手配を遂行し
やれやれこれでうちの学校の子供達も喜んでくれる…と
胸を撫で下ろしたわけです。
本来なら、ここでメデタシメデタシ…と、なるわけなのですが
なぜか、そうは問屋がおろしてくれませんでした(笑)
文昭さんと知り合ったことでご縁ができた名古屋の古川君という男の子がいました。
人懐っこくよく気の利くとっても面白いアイデアマンです。
わたしは、事のいきさつをこの彼に報告しようと電話を入れました。
その時、彼が電話口で言った言葉が
このあとわたしを大きく揺り動かします。
彼はこう言ったのです。
『ますみちゃん、文昭さんはね…もちろん学校ならタダでも一万でもいくらでも行くよ…
でもね、一応覚えておいて…
文昭さんの講演会のギャラは〇〇万円だから…』
一応…ということで教えてくれたその金額に愕然!
だって、わたし…そういう世界、まったく知らないんですもん!
そして、学校が謝礼として提示した金額と
大幅にかけ離れているんですもん(笑)
…で、その時とっさに
何を思ったかというと…
『クロフネ』という会社の社長が1日動いてくださるんだもん
わたしには、到底手の届かない金額だけど
学校が払うって言ってる金額との差額を
その同じ日に作ったらいいんじゃない。。。わたし?
そしたら…満額で持っていっていただけるわ…
名案‼︎(笑)
本気でそう思ったわたしは
その足で、四日市市の文化会館へ向かい
学校が決めている日の
夜の時間の会場の空き具合を尋ねました。
その日に空いていたのは、このふたつ。
第一ホール…1786席(一階席1246席)
第三ホール…120席
ちょうど良さげな600席弱の第二ホールはすでに埋まっていたのです。
こんな時、何も考えていない…というのは無敵でありまして(笑)
その時わたしの頭に浮かんだ言葉は
小学生でも知っている
【 大は小を兼ねる 】という言葉(笑)
そうよね…大は小を兼ねるっていうし
じゃ、第一ホールをお借りします…
なんて、なんの迷いもなく申し込みをしてしまったのです(笑)
さあ、そこから…怒涛の数ヶ月が続きました。
やったこともないことを、いきなりやると言い始め
経験も知識もないのですから
もうメクラ滅法です(笑)
アナログなわたしを見かねて
チラシやチケットを作ってくれるというともちゃんとわたしを含め
たった5人で
ああでもないこうでもないとたまにお茶を飲みながら時間を重ねる日々。
今みたいに、SNSなんていうものはまだなくて
完全なる『手売り』です!(笑)
チケットに手書きでナンバリングしたり
チケットをもぎれるようにと、手芸屋さんで買ったミシン目の穴が開くカッターのようなもので、一枚一枚ミシン目を入れていきました。
【 大は小を兼ねる 】で、大きなホールを借りてしまったものの
わたしの中では、当初…ま、半分ぐらい入ってもらえたらいいか…
みたいな気持ちがあったのですが
その5人の中の、お姉さん的な方に呼び出され
ある日こう言われたのです。
『ますみちゃん、いったい何人入ったらペーできるの?』
とっさに、なんの返答もできないわたしがいました。
そりゃそうです…計算したことないんですもん(笑)
その様子を見て、彼女がすかさずこう言いました。
『あなたも経営者の端くれなら
絶対にマイナスは出してはいけません!
いいですか?しっかりとやりなさい!』
なにも考えてないわたしには
どっひゃーん!な感じでしたが
結果的に、この彼女のひと言が、ぼやぼやしていられないわたしを作ってくれました。
そして…
よしやるぞ!と、決めたその日から
なんだかいろいろなことが動き始めたのです。
結果的にどうなったかというと…
一ヶ月前には、1400枚以上のチケットがわたしの手元からなくなっていて
当日、文化会館の外には長蛇の列ができていました。
その様子を見て、震える思いをしたことを思い出します。
ニ階席を開けるかどうかギリギリまで迷いましたが
なんとか一階席だけでいける!と踏んだのです。
ありがたいことに
一席の空きもなく、超満席の会場での文昭さんの講演会となりました。
その時は
怖くて言えなかったのですが
実は、その数ヶ月前
初めてこの会場を借りて
下見をどうぞと案内してくださる方に促されて
その舞台の真ん中に立って
誰もいない広〜い客席の方を見たときに
なぜか…超満席のお客様の姿がカラーで見えたのです。
その頃、『イメージング』なんていう言葉も何も知らないわたしは
なんという『オゴリタカブリ』をわたしは持ってしまっているのかと
その映像を何度も打ち消し、その映像のことはなかったことにしようとしました。
そして、そのことは講演会当日が終わってもしばらく誰にも言えないことでした。
だって、そんなの見えるような錯覚を起こすのは
わたしのオゴリタカブリだと思っているんですもの(笑)
でもね
実は、何度も何度も夢にまで出てきていたのです。
超満席の会場のお客様の様子が…。それも、美しいカラーで…。
知らない…ということは
本当に残念なことですね…(笑)
知っていたら
打ち消し否定する…なんてこと、絶対にしなかったのに…(笑)
ま、そんなこんなで
本当に多くの方のお力をお借りして
四十路を迎えようという無鉄砲なオンナは
今まで見たことのない景色を見せてもらい
たくさんの方が心から喜んでくださる姿を目の当たりにして
震える何かがとまらなくなっていました。

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