離婚…に至るまでは、驚くほどスムーズに事は進んだわけです。
ところが
それまでの、それを進ませようとするチカラとは打って変わって
今度は、じゃあこのあとどうするんだ‼︎…っていう現実に目を向けなければいけないわけです…
その頃は、まだ両親も健在で
養子さんに来てくださった方がいなくなった…だけ…
という…環境的には、わたしにも子供にもほとんど変化のない離婚だったわけです。
そうは言っても
二人の男の子をかかえてシングルマザーになったことに変わりはなく
はてさて…今すぐ困る事はさしてないが
いつまでも両親が生きていてその庇護の元に居られるはずもないし
決してそれを望んでいるわけでもない。
じゃあどうするか…?と考えた末にわたしが出した答えが傑作と言うかなんと言うか…(笑)
その時、ふと思ったことが
このあと20年近くの人生を大きく牽引することになってしまうような…
とっても小さな『ふと…』となりました。
この時、20代半ばの世間知らずのシングルマザーが
いったいどんなことを『ふと…』思ったかと言うと…
これまでの人生、わたしは恵まれすぎた人生だった…
両親からは余りある愛情を受け
決して贅沢を教えられた事はないが、人さまが羨むような生活をさせてもらっている。
厳しくはあれど、恵まれた環境の高校へ行かせてもらい
そのあと『神宮』さんなんていう特別な場所に身を置かせてもらった…
そう…
わたしは、単なる世間知らず…なだけではなく
世間の上澄みの美しいところしか見てこなかったんではないか…
このまま、同じように上澄みだけを見て生きていくことなんて到底できないだろう。
そうだ!わたしは世間の底辺を見る必要があるんじゃないか!
そうだ!わたしは世間の底辺を見てみなきゃいけないよね!
20代半ばに、なぜそんなことを強く思ったのか
今となってはわかりませんが
この時こう思った時の感覚は、今もはっきりと思い出せます。
『ふと…』な割には、やたら強く思ってしまったようですね(笑)
そう思ったら…
面白いもので、わたしは急に『底辺』探しを始め出しました。
そこで…20代半ばの世間知らずが、何を底辺だと思ったかと言うと…
今となっては、これを書くことさえ恥ずかしいのですが…
『ゴミ収集車』か『葬儀屋さん』だと
職業差別も甚だしいこの世間知らずは思ってしまったのです。
今でこそ、そんな事は微塵も思っておりませんが
その頃のわたしは、そんな人が嫌がるような仕事を底辺だと錯覚していたようでございます…
それにしても、この時の動きは速かったですねー(笑)
思い立ったらなんとか…状態で
折り込みチラシにあった葬儀屋さんの求人募集を見るなり
すぐにそこへ電話をしていました。
もしもこの時、葬儀屋さんじゃなくて
ゴミ収集車の募集が目についていたら
きっと、わたしの人生はまた別のものになっていたことでしょう。
おそるおそる初めて葬儀屋さんという場所に足を踏み入れ
面接を受け
それが、なぜかみごと合格し(笑)
晴れて、『底辺』だと勝手に思うその入り口に立ててしまったわけです。
ところが、それだけではまだ満足できず
葬儀屋さんでのアルバイトもしながら
早朝4時からの『牛乳配達』のバイトまではじめてしまったのです(笑)
よほど、どこまでも『底辺』にこだわり抜きたかったのでしょうね(笑)
で、その葬儀屋さんで…出逢ってしまったのです!
やたらと仕事は出来て…どんな大きなお葬式や社葬でも
一人でこなしてしまうような頭の良さなのに…
なぜか…
『おはようございます!』
と、挨拶しても、チラッと一瞥するだけで
決して『おはよう…』という言葉を返してこない
とっても感じの悪すぎる白髪のおじさんに…。
ああ…これが
ある意味…わたしのウンノツキ(笑)