(4)悲劇のヒロイン病

結婚式の3日前にすべてパーになるなんて
テレビドラマさながらで(笑)
まさか、そんなことが我が身に降りかかろうとは夢にも思っていませんでした…。
今でこそ、「ピンチはチャンス!」
なんていう誰もが知るフレーズを振りかざして
苦しさ紛れに「もう笑うしかない!」なんて
開き直ることもできるかもしれませんが…
さすがに、30年前の世間知らずのお嬢ちゃんの私は
そんな風に物事をとらえるすべさえ知らずに
ただただ…ベッドの中から起き上がらない日々が続きます。
起き上がれない…のではないのです。
自らの意思でそうしていたんだと思います。
とにかく…悲劇のヒロイン病(笑)だったのです!
どれぐらいの日々そうしていたかさえ
今となっては思い出すこともできません。
とにかく、誰とも顔を合わせたくなかったのだけは確かです。
その頃、私は毎日どんな状況でどんな生活をし
誰とどうやってご飯を食べたのか
笑っていたのか泣いていたのか
なにひとつ思い出せないのです。
そんな中、一度だけ雪深い冬の日本海に母と二人で行ったことだけは覚えています。
その、結婚するはずだった彼に会いに
何度も危ない目に遭いながら、雪の北陸自動車道を
母のスカイラインはお尻を振りながら飛ばしていました。
久しぶりに見る彼は、生気を失い
それでも片時も私から目を離すことなくこちらを見ていました。
私も、涙は流れるものの
目を離すことはなく、彼がなにを伝えたいのか
それを探すのに必死でした。
もしも、今…彼の病状に診断をつけるのなら
きっと『鬱』という診断になるのでしょう。
ただ、私は今でもそうだとは思っていません。
医学では診断のつきにくい状態だったのではないかと思います。
でも…その時に
その片時も目を離さない彼を見て
思ってしまったのですよね〜〜
【 わたしがこの人を守ってあげなきゃ! 】って!
ああ…これが、たぶんすべての間違いのもと…笑
たまにいるでしょ?こんなオンナ…
悲しいかな…
正義感たっぷりの…気の強い女の見本みたいなヤツ(笑)
ひと肌脱ぎたくなっちゃいますの…
トホホホホ……

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